2012年02月07日

幣原喜重郎の「経済外交」7

「日本の率直なる公式声明」B
山東について
日本は、山東を支那から剥ぎとったという非難を受けている。この真相はどうなのか。
大戦中、日本は極東に於ける連合国の利益を守る義務を負うたので、青島に於けるドイツ軍事基地の脅威を取り除く必要があった。日本は英国の分遣隊と共に、必要な軍事的努力をして、そこを占領したのである。(……)
日本はもとのドイツの租借権を継承しようという積りは毛頭ない。戦争以来、それは支那に返すという最初からの申出を繰り返し、もとの租借地は各国民が均等の条件で貿易のできる自由港にするということも、またドイツ鉄道部の仕事は日支合弁にするということも、言っているのである。支那はこの取計いを拒絶し、もとのドイツの権利は、参戦してその布告をした時に、自然に支那に返っているものだと論ずるのである。しかしこの宣戦布告は、支那が日本との借款を取り決め、その約束の支払金を受け、もとのドイツ鉄道の合弁計画の原則を承認してから満一年以上もたって、発せられたものである。
日本は、鉄道を警備するため、山東の沿線に軍隊を駐屯させている。青島にいるのは派遣軍に臨時分遣隊を合わせて、将卒約二万である。北京の領事館を守護するため、また海岸からその首都までの鉄道を警備するため駐屯している各国軍隊は、その二倍にも及び、この中には米国軍隊も加わっている。かつまた鉄道延長のための資本を提供する際のドイツの優先権は、もし日本が主唱して賛成さえ得るなら、現在米国、ベルギー、英国、仏国、日本の銀行団が、その政府の支持を受けている国際財政借款団に継承させることも出来る。
だから日本が、山東を侵略するという非難を裏付けるべき事実は、実際には存しないことが明らかである。今やこれら総ては海軍軍備縮小と共に片が付くに違にない。なぜなれば、もし会議参加国民の間に、何ら重大なる利害衝突がなく、それゆえに軍事侵略の脅威もなくなれば、解決はただ時間の問題となるのである。
再び率直にいえば、日本は、払拭しなくてはならぬ疑惑と不信は米国側にあることを認めて、この会談に臨んだのである。日本側では米国に対し、そういう不審な気持は全く持っていない。日本の代表は、事実さえ明かになれば、この疑は晴れるであろうことを信じ、かつ希望しながら来たのである。(……)
男爵大将で海軍大臣の加藤代表は、海軍の軍備制限に、その国防の安全性をそこなわぬ限り、日本は同意する腹であると述べている。(……)
日本は海上貿易に依存する島帝国である。しかし負担の軽減が軍縮から生れてくること、また軍備制限は相互の認識了解に基く真の協力によって達成の出来ることを確信している。(……)
posted by wada at 19:09 | TrackBack(0) | 話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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